2020年8月28日金曜日

第18回日本スポーツ精神医学会総会・学術集会のおしらせ

 表記大会を主催いたします。ウエッブ開催になります。興味深いご発表や、趣向こらしたコンテンツもございますホームページにアクセスください。守秘義務・個人情報の遵守、著作権の保護、医療専門職としての倫理基準の厳守、以上を満たす方は、会員登録の上でご参加ください。参加無料です。

http://jasp18.kenkyuukai.jp/special/?id=30743

小林佳乃子さん作成の紹介動画です



2020年7月22日水曜日

大学院生 岡本隆寛氏の原著論文のご紹介

私の指導する博士後期課程院生 岡本隆寛先生(順天堂大学)の原著論文が刊行されました。

リハビリテーション連携科学 Vol.21 no.1 p11-22
「統合失調症者の利用施設および就労状況の違いや情緒的支援、セルフスティグマとリカバリーとの関連性」


2020年4月3日金曜日

COVID-19の心理社会的影響ー「分断の伝播」ともいうべきウイルスの戦略

先日のBSフジのプライムニュース(3月下旬)で、イタリアに関係の深いゲストの方々が、大変興味深い考察をされていた。もともと家族や友人と会話や身体表現を最大限生かして密接なつながりを大切にしているお国柄、そうした生活スタイルや価値観がかえって感染にはマイナスに働いた、COVIDー19がこうした人々の培ってきた伝統や文化の礎を根底から揺るがしかねない、と言う指摘である。
これに示唆を受け、この2−3ヶ月の状況を通じて、拙いながらもいくつか気づいたことがある。まだ文献的考察や他の言説をきちんとあたっていないので、もしかしたら同様の意見を既に述べていらっしゃる方がおられるかもしれない。あくまで予備的私見として今日の段階では留めつつ、ささやかななコメントをしてみたい。


要点は、人心の分断が様々なフェイスで顕在化する、それがCOVID19の心理社会的インパクトの怖さではないか。

生物学的な致死率や感染力については、既にオフィシャルな情報がある通り、エボラほど致命的ではないものの、約2割が重症化すると言うが、軽症者も8割にのぼるらしい。感染力も新型インフルエンザほどではないが、スーパースプレッダーと呼ばれる現象も起きうる。急激に重症化し人工心肺を必要とする人がいる一方で、罹患しても無症状の割合が多いとの情報さえある。いずれにせよ、すごく危険なのか?、多くの人は大丈夫か?、どちらにも捉えうる特性を有している。当然、専門家たちも、その両面を伝えることになり、伝え方や文脈によっては、いずれか一方に偏って捉えられやすい。パニック回避か、注意喚起優先か。
結果として、自粛か?過剰反応か?と言った議論が起きたし、2−3月の実社会では、経済活動と感染予防という二律背反的な矛盾が生れた。4月2日の現状では、世界の状況にも鑑み、感染防止に全体が舵を切られていると言って良いが、ここに至るまでに様々な分断や衝突があったことも事実であろう。
次いで明らかになったのは、世代間の分断である。COVID19は高齢者にリスクが高いという事実から、若者の行動に批判や注意喚起が集中した時期がある。他方、感染者が激増し、医療が逼迫している欧州では、集中治療を行いうる事例を年齢により選別せねばならないという、痛ましい報道がされた。
さらに、地域間の分断である。欧米の豊かな国で感染が拡大し、イタリアでは比較的経済的に優位にある北部に爆発的な増加をした。現在もこれが進行しており、経済活動の高い大都市圏で発生が多く、このエリアでの医療キャパシティーを超えた状況が危惧されている。自国が大変な状況で、EU加盟国間でのサポートもなかなか進まなかった様だが、今日段階でドイツがイタリアやフランスの重傷者を受け入れていると報道されている。NYを封鎖するかしないかというバトルや、郊外に逃げる車をナンバーで取り締まるという報道さえもあった。これがもし、発展途上国や貧困地域などの保健医療体制の整っていないエリアに蔓延したら、、WHOはどのように支援できるのか?恐るべきウイルスの戦略である。
日本でも、都心から感染が少ない地域へ逃げる行動を避けて欲しいという自治体町の報道から、絆や団結の名の下でこれを声高に反論した芸能人がおられた。逆に擁護する方もいて、感染症の特性を考えれば無症状だからといって安易に地方に観光や疎開して良いのかという意見も出された。移動制限がより先鋭化した差別につながる恐れと、情緒優先的判断による拡散の懸念、これも分断の一側面であろう。
いずれにせよ、COVID19はこうした生物心理社会的特性により、じわじわと感染が広がっていないエリアの人々の人心を蝕んでいる。特に日本では、感染爆発の一歩手前という状況が長期に渡って継続しており、我々の一喜一憂は日々続いている。
さらに心配なのが、ポストパンデミックトラウマともいうべき、精神的健康へのインパクトである。もちろん最前線で対応にあたる医療関係者や行政職員はじめ、経済的ダメージによるうつ病や適応障害の発症リスくの上昇、元々基礎疾患がおありの方々への二次的影響、感染症に関連する不安恐怖症の遷延、などが懸念される。
COVID19は、情報との向き合い方も含めて、21世期の我々の生活の仕方と切り離すことのできない、極めて厳しい人類への挑戦であるように思う。今できることは、感染を予防し、適切な日々の行動を心がけること。いま、対応にあたっている方々の健康も、心からお祈りする。









2020年2月14日金曜日

ESSENCEという概念:Early Symptomatic Syndromes Eliciting Neurodevelopmental Clinical Examinations

ESSENCE(Early Symptomatic Syndromes Eliciting Neurodevelopmental Clinical Examinations)は、ASSQなどを開発した大御所Christopher Gillbergが、昨年12月の児童青年精神医学会にて講演された。大変に勉強になったと同時に、それをうけた前後のシンポジスト(友田先生など)のコメントからも刺激を受けた。
これは「神経発達に関する臨床検査の必要性を励起する小児期早期症候群」とでも訳される概念で、乳幼児期に発症する発達上の問題や精神神経行動上の症候には重複合併が多く、その境界が不明瞭であることが強調されている。横断的時点で診断評価するだけでなく、縦断的に様々なサインを呈する子どもたちとして認識し、関連機関や多職種が連携してフォローし、それに応じた心理社会医学的支援を構築する必要性を提案している。
このなかには挑戦性反抗性障害、ADHD、ディスレクシア、協調運動障害、知的障害、ASD、チックやトゥレット障害、反応性愛着障害、境界知能などが包含される。
生来の生物学的素因や高次機能特性(中間表現型としての脳構造機能やリスク/ 関連遺伝子など)、胎生から周産期に至る環境因、乳幼児期の養育愛着状況などが複合的に関与し、表現型としての行動特性はさまざまなカテゴリーに該当したり、キャッチアップやセットバック、さらに2次障害が併発する。個別の症候群に拘泥するよりも、ESSENCEとして包括的に見守ることが肝要という意見である。
早期支援療育が有効な例も当然存在し、「発達障害」としてのバリアフリー(構造化や視覚化など)は当然だが、「神経発達症」としての治療介入可能性も心理社会生物的各側面から広がりつつある。昨今愛着関連ペプチド(オキシトシンやプロラクチン)も注目されており、ASDよりはむしろRADや発達性トラウマの事例に有用かもしれない。脳の臨界期に言及する研究者も多く、乳幼児早期から的確にスクリーニング、フォローアップし、家族も含めた支援的アプローチが、まさしくessentialに求められよう。その意味で、奥野先生との共同研究であるSACS-Jを広く本邦の乳幼児健診に導入し、ASDのみならずESSENCEの視点から予防発見支援の更なる拡充を期待する。
研究的には、経時的な中間表現型としての脳機能や神経心理所見の追跡、愛着関連ホルモンや抗酸化サプリメントなどの安全性と有効性の治験など、興味関心が尽きない。

2018年5月25日金曜日

世界摂食障害アクションディ (一般社団法人 日本摂食障害協会より)

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(1)世界摂食障害アクションディ2018開催!
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今年で3回目になります世界摂食障害アクションディが
6月2日(土)に開催されます。
https://www.jafed.jp/world-eating-disorders-action-day/

スポーツにおいては、東京オリンピック・パラリンピックを控え、
競技スポーツはますます盛んになっています。
しかし、フィギュアスケート女子の日本、ロシア、アメリカ、カナダ
の人気選手が摂食障害であったことを公表しており、引退をしたり、
平昌五輪出場を断念したりしています。
日本の女子長距離選手が、現役時代から摂食障害を患い、引退後も
苦しんでいたニュースも流れました。アスリートと食の問題は女子
だけにとどまらず、男子選手にも及んでいます。
「食」と「健康」に関する正しい医学情報の提供と、摂食障害の理解、
啓発を行います。

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2)アクションディ特別企画 無料試写会&討論会
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<1部>無料上映会
映画『空(カラ)の味』(2016 年・日本・125 分)
監督・脚本 塚田万理奈 主演 堀春菜
公式サイト: 
http://karanoaji.com/

<2部>討論会
当事者、家族、治療者の討論会
~医療や家族ができること、できないこと~

[登壇者予定]
・日本摂食障害協会 理事
・当事者
・自助グループ
・家族会

アクションディのシンポジウム終了後、16:00頃から
を予定しております。




2017年11月3日金曜日

日本医師会雑誌に掲載


上原徹:摂食障害の歴史、病態と疫学.日本医師会雑誌、146巻8号、1529-1533、2017
 
が、出版されました。
  

2017年10月18日水曜日

大学院生が学会発表します

上原研究室の博士後期課程より、2つの学会発表を紹介します


奥野みどり、上原徹:乳幼児健康診査による自閉スペクトラム症診断と関連する乳幼児の行動特性~SACSを改変した乳幼児健診の取り組み~.第6回日本公衆衛生看護学会、大坂、1月、2018

 
相良由美子、上原徹:家族の感情表出(expressed emotion)と知的障害を合併した自閉スペクトラム症児の問題行動との関連.第21回日本心理教育家族教室ネットワーク研究集会沖縄大会、2月、2018
 


 

2017年9月29日金曜日

障がいバブル

障がい支援の委員会で、複雑な心境になった

日常の困りごと、大学生活での問題、、さまざまあれど、、

それは、自己申告あれば、簡単に「障害」としていいのだろうか?

直ちに「障害」と規定することに、鈍感でいいのだろうか?

もちろん、個性や特性にとどまらぬ、当事者のかかえる障壁や齟齬を、

個別に受け止め、可能な限り周囲が支援すること、

エンパワーメントにセンシティブであること、

これはゆずることのできない、

ポリシーであり、児童精神科医としての姿勢である

そうした活動に、仰々しい枠組みをはめ、

障がいを広げることのリスクに気づかぬ虞、

この機に及んで、それにくみすることは、社会性や大人ということばでもっても、

わたしには妥協できない

障がい支援をバブルとせず、

周囲や環境のバリアフリーを優先し、

何より多様性と多義性を尊重するキャンパスこそ、

目指すべき到達点ではないだろうか?

それなく、disorderの意味も解さぬ段階で、

狭隘に「支援」を振りかざすことに、

やはり疑念を持つ

博愛と慈愛の視線だけで、

psychiatric disordersを障害とみなす風潮に、

懸念を抱くこともある

われわれは当事者の苦悩のうえにたち、

毅然と声をあげねばなるまい

目の前の人に、

障がいなどという言葉を超えて、

向き合うすべを、

われわれは、深く見つめたいと願っていることを

2017年3月25日土曜日

夢ナビライブに登壇する予定です

夢ナビとは、大学の先生が、自身の研究内容や大学の紹介をわかりやすく魅力的に紹介したサイトです。メッセージ動画や、30分の講義動画を見られる夢ナビ講義もあります。

大学研究&学問発見のための国公私立大 合同進学ガイダンスを夢ナビライブと言い、7月22日登壇の予定です。

http://yumenavi.info/live/index_pc.html

著作なども紹介されています

http://yumenavi.info/lecture.aspx?GNKCD=g008231

「夢ナビWEB」に、どうぞアクセスしてご覧ください


2016年12月21日水曜日

師の訃報

今月のはじめ、

精神医学研究の師匠である、

佐藤哲哉 先生(前 ミュンヘン大学教授 -Ludwig-Maximilians-Universität München)の訃報が、

佐藤哲哉グループ筆頭メンバーであった、故 坂戸薫 氏の奥様より、届いた

生前お会いする機会を、千曲荘病院で、ほんの2-3か月であったが、いただくことができた

今思うと、奇跡のような、ご縁であった

長らくドイツで過ごされていた、哲哉先生であるが、

ミュンヘンから奥様が来日され、千曲荘病院の遠藤先生と坂戸先生の奥様が、お逢いになった

懇談のご様子を、聞かせていただけた

亡くなられたのは、夏のころという

ドイツの教会で、あちらのご家族に見守られ、永眠された

こころあたたまる、ご葬儀の様子であった

佐藤哲哉グループの業績は、世界でそれなりの位置づけや評価をいただいていると、専門の皆様から伺っている

佐藤哲哉氏の業績が、今、人心に与えるインパクトを、いまここで論じるには、まだ整理つかぬが、

いずれは、しっかりとした総説をまとめねばなるまい

薫陶を受けた後輩として、そのDNAをどれほど引き継げているか、反省している

先週、グループの最若手であった桑原秀樹先生、そして坂戸美和子先生が高崎につどってくださった

両先輩を偲ぶ会、存分にかたりあうことができた

なつかしくも、悲喜こもごもを伴にした想いで、きびしくもたのしい思い出、それぞれの歩んだ道行、、、

なくなられたお二人から学んだ研究の体験が、私を支えてくれております

こころより、哲哉先生の冥福をお祈りします












2016年10月26日水曜日

こころの科学 190 「子供の薬物療法」


福田正人、浦野葉子、毛呂佐代子、成田秀幸、上原徹:
 
子どもの向精神薬治療-薬物療法以前.
 
こころの科学、p21-27,2016
 
共著に、お声掛けいただきました
 
どうぞ、ご高覧下さい

2016年5月20日金曜日

第33回日本家族研究・家族療法学会 長崎大会で自主シンポジウム


日本のEE(expressed emotion)研究, いま, これから-障害のある子どもの家族やケアする看護職の感情表出

 

上原 徹(高崎健康福祉大学大学院), 米倉 裕希子(関西福祉大学), 香月 富士日(名古屋市立大学)

 
家族の感情表出(EE: expressed emotion)は,精神障害や慢性的な困難を抱えた当事者の家族が示す情緒的態度の指標です。統合失調症の再発との有意な関連性が実証されて以降,世界で多くの研究が展開されています。日本では1991年に「分裂病と家族の感情表出」が三野・牛島により翻訳出版され,この魅力的な概念は瞬く間に我が国の心理教育や家族支援にかかわる専門家, 社会精神医学の研究者に広まりました。さかのぼる1989年末には, ロンドン大精神医学研究所に留学していた三野らが中心となり, 公式評価法であるキャンバーウエル家族半構造化面接(CFI)のトレーニングセミナーが本邦で開かれ, 認定評価者が誕生しました。のちに彼らは,優れたEE研究を日本から発信することになるのです。
ほぼ期を一にして,米国で開発された簡便EE評価法である5分間スピーチサンプル(FMSS)の認定訓練が,1992年に長崎で行われた。長崎大学有志のバックアップにより,米国よりトレーナーが式根島に来日し,公式評価者が多数誕生しました。1990年代は,FMSSを用いた多様な臨床研究が報告され,活況を呈しました。
EE概念は心理教育発展の理論基盤となり,家族心理教育ツールキットの開発や心理教育家族教室ネットワークの創始につながったのです。
2000年代に入り,自記式質問紙であるFamily Attitudes Scaleや Nurse Attitude Scaleが開発されました。しかし現在,関心を示す研究者や臨床家は決して多くありません。EEをテーマにした演題発表も,きわめて少ないです。一方欧米では、コンスタントにEEに関する一定レベルの原著論文が掲載されています。EE研究と実践には,公認評価者によるレイティングが必須ですが、残念ながら,日本でCFIやFMSSの認定研修は久しく行われていません。

 本シンポジウムでは,上原がEE概念および評価法の概要を解説し,2000年代から今に至る内外のEE研究を紹介します。ついで、現在まで日本のEE研究を地道に牽引してきた代表的な研究グループから2名をお招きし,それぞれの研究と課題を発表していただきます。

米倉先生には障害のある子どもの家族のEEについて一連の研究と,今後の家族支援に向けた試みを報告いただきます。従来、障害のある子どもの家族研究は,家族の障害受容に焦点が当てられており,「受容」の概念は曖昧であり課題も多く残されていました。障害のある子どものEE研究は,家族の状態を客観的に把握し,必要な支援を導き出すのに有効と考えられます。
香月先生は,看護スタッフが当事者に示すEEを評価する新たな尺度の開発と,それらが支援者のメンタルヘルスに関連するという研究を紹介します。討論では,高EE家族やスタッフのhigh-EEをどう理解するか,low-EEのモノローグ(表出や態度)の解釈について,今後の評価者認定の再構築,などを議論できればと考えています。
EEは,家族や支援関係者のニーズを顕し,外在化を促し,包括家族支援の効果判断指標になります。ふたたびEE研究を興し展開する端緒とすべく,日本におけるFMSS発祥の地である長崎で,本シンポジウムを企画しました。
 
関心のある方は是非ご参加ください

2016年3月22日火曜日

卒業生への、ささやかなメッセージ

「過去もない、未来もない、あるのは今」

「その一瞬、一瞬を、生ききる」


このことは、アップルの創始者であるスティ-ブ・ジョブズ、

仏教におけるサティsatiや念、

最先端の心理療法の1つであるマインドフルなど、

これまで、著明な人々が語り、多くの信仰の中でさししめされてきています


しかし、私たちは、つい、


「あの時こうしておけば、、」


「この先こんなになったらどうしよう、、、」


と、心が目の前の豊かな現実世界から、離れてしまいがちです


でも、今、私たちが感じ、見聞きし、思考している、


この1秒、1秒、、、


これは、どんな人にとっても平等に訪れます


そのつながりが、過去から未来へと、向かっていく


一方で、時や地球、宇宙から見たならば、

このようにとらえることが、できることを教えていただきました



「この瞬間、瞬間は、私たちを、しっかり掴んではなさない」


実は、時が私たちを、捉えてくれている


そして、このことを見つめられる時、私たちは、


かけがえのない、今を、豊かに生き切っているのかもしれません

2016年1月19日火曜日

保健福祉学専攻長としての抱負と展望


 

保健福祉学とはどんな研究分野なのでしょうか?一般的に知られている保健学は、「Health Sciences」の邦訳で、健康の探求とその維持・増進を目的とする諸科学を統合した総合科学のことです。そこに福祉「Welfare」の視点や方法論を加味し、保健医療と教育・心理・社会経済などの学際融合を目指す学問領域を指します。ライフサイクルにおける身体・精神・社会的な健康増進、家族や社会関係を発達的視点に基づき支援するための保健福祉システム、それを支えるマンパワーやリソースの確立などがテーマとなります。

 

関係する領域や専門性は極めて学際的で、包含される方法論も、いわゆる公共的な手続きを踏む数量的研究から、理論概念研究、場合によっては質的なモノグラフまで多岐にわたります。よく言えば多彩で魅力的、異分野連携が不可欠であり、大変興味深いテーマがたくさん存在する世界です。しかし、それ故に、アイデンティティーを失いかねない事態も起こりえます。・・・私の専門はいったいなんだろうか?

 

こうした多様性に宿る本質とは、いったいどのように培われるのでしょうか?それには、研究内容や領域に目をむけるばかりでなく、どこで、だれと、どのような、どんな時代や未来に向けて、誰のために行ったか?こうした問いに向き合うことが、必要なのかもしれません。保健福祉学に関わる研究者や実践者の存在意義と個性は、テーマ(仮説)から湧き出る熱意や、研究方法からにじみ出る姿勢、結果を考察する視点からうかがえる倫理感などに、おのずと示されるのではないでしょうか

 

関係する領域や専門性は極めて学際的で、包含される方法論も、いわゆる公共的な手続きを踏む数量的研究から、理論概念研究、場合によっては質的なモノグラフまで多岐にわたります。よく言えば多彩で魅力的、異分野連携が不可欠であり、大変興味深いテーマがたくさん在る世界です。しかし、それ故に、アイデンティティーを失いかねない事態も起こりえます。・・・私の専門はいったいなんだろうか?

 

こうした多様性に宿る本質とは、いったいどのように培われるのでしょうか?それには、研究内容や領域に目をむけるばかりでなく、どこで、だれと、どのような、どんな時代や未来に向けて、誰のために行ったか?こうした問いに向き合うことが、必要なのかもしれません。保健福祉学に関わる研究者や実践者の存在意義と個性は、テーマ(仮説)から湧き出る熱意や、研究方法からにじみ出る姿勢、結果を考察する視点からうかがえる倫理感などに、おのずと示されるのではないでしょうか。

 

さて、これからの大学院に求められる活動として、いくつか想起するポイントがあります。大学が、これまでの義務教育延長の場となりつつある今、学部教育でおこなわれる研究業績、産学連携、地域貢献は、その内容と方法が近似せざるを得ません。少子化による入学者数の減少と大学数のアンバランスが故に、運営が持続困難に陥りかねない事態さえ憂慮されています。質の平均化により、各大学の個性が平均共通項的なテーマに集約されていくことは、自明ともいえます。今後、関係資本、魅力資本、信頼資本、ブランド資本など、目に見えにくいリソースを作り上げる場は、一部の有名大学を除き、大学院にこそ潜在すると考えています。現段階で、可能性のあるアクティビティのアイデアが、いくつかあります。

 

1. 学内コンソーシアムから 介護福祉系・工学情報系・医療食品薬理系などのベンチャー創世

2. 多領域連携教育実習体験指導者の育成と外部からの受入れ

3. コンサルテーション・ステーション(スーパーバイズ機能やフィールタンク機能)と情報発信(メディア)機能を持つ大学院へ

 

学内(県内)の他専攻や研究科との協働、地域のOBGや関係専門職の大学への参画、ポッドキャストやレクチャーの動画配信などによる対外発信を通じ、私ども専攻は、さらに切磋琢磨していきたいと考えています。

 

今、2016年、世界には強烈な分断の兆しが見えかくれし、多様な価値観の鋭いせめぎあいにあふれています。ウエッブ2.0による世界では、小さな揺らぎや波動は、またたくまに拡散し、予測の難しい非線形の創発を示すといわれます。あたかも生き物のような自己組織化により、相互作用以上の影響があらわれます。これは、ささやかな肯定的な発信にも当てはまる、複雑系ゆえの事態です。とするならば、地方の中小私大の大学院一専攻からの活動発信が、時に世界へと影響をあたえるかもしれません。

 

真の連繋と協働に向けて、これから入学される、今学ばれている学生のみなさん、指導される先生方、興味関心をお持ちのご縁ある方々に、このメッセージを送る所以です。

 

どうぞ、これからの保健福祉学専攻を、注目してください。

2015年12月1日火曜日

心理教育家族教室ネットワーク第19回研究集会東京大会・分科会のご案内― Family-Based Treatmentの導入実践に向けて

3月20-21日 東京都大田区にて開催されます(東邦大学精神科が担当)
ぜひ、多くの方にご参加いただけますと幸いです
この分科会は21日AMになります
 
対象者)児童青年期、特に10代の神経性やせ症タイプ事例の支援経験のある、もしくはこれから関わろうとする方々。
留意点)慢性遷延例や嗜癖・衝動性の著しいケース、養育者などによる現実的支援の望めない事例(虐待など)には、適応が難しいことを付記。
コーディネーター
上原 徹     高崎健康福祉大学大学院保健福祉学専攻
小笠原 知子  金沢大学保健管理センター
プレゼンター
澤 智恵     東京英語いのちの電話(TELL) TELLカウンセリング
話題提供
須田 真史   上ノ原病院
 モーズレイ家族アプローチは、ロンドンのモーズレイ(モーズレイ病院、べスレム王立病院、ロンドン大学精神医学研究所)で開発された、神経性やせ症に対してエビデンスのある数少ない治療法である1,2)。 その後米国などで実践と検証が重ねられ、現在はFamily-Based Treatment(FBT)として広く知られている3,4)。
 FBTの基本は、家族が摂食障害を十分理解することで、家族の能力と資源を最大限に生かし、治療チームでそれを支えていくこと、にある。養育者(親)が食行動の修正や教育、支援の中心的役割を担う。その根底には、外在化をパワフルに援用し、病因論に拘泥せず、解決を構築していく支援姿勢が要請される。
 家族心理教育とFBTとの深い共通性を実感した上原は、ささやかながら心理教育の応用型として紹介してきた5,6)。本分科会では、本格的にFBTの導入を始め、精力的に活動を続けておられる7,8)TELLカウンセリングの協力と、中心的メンバーである小笠原氏ならびに澤氏の参画を得て、待望の企画を顕てることができた。その内容は、
1.家族心理教育とFBTとの共通哲学
2.FBTの理論と効果、フォーマットの説明
3.FBTの純粋形をスーパービジョンを含め日本で行っている実例と効果
4.モーズレイの様子や家族向けDVDの紹介
5.課題や展望についてのディスカッション(応用や試行、疑問含め)
 なお、若干気楽な閑話休題的な内容として、ロンドン精神医学研究所に留学経験のある須田氏に登場いただき、あちらでの実際やトレジャー教授らが作成したロールプレイDVDについて紹介していただく。
 最後の5では、参加の皆様から、以下のような話題を積極的に提供いただけることを期待する。
①FBTのエッセンスを、どのように、どこに、活用できそうか?
②FBTと皆さんの実践している心理教育との共通項はあるか?
③FBTを応用する時に困りそうなこと、不安なこと?
代表的な参考文献のみ)
  1. Russell GF, Szmukler GI, Dare C, Eisler I.An evaluation of family therapy in anorexia nervosa and bulimia nervosa.Arch Gen Psychiatry. 1987 Dec;44(12):1047-56
  2. Eisler I, Dare C, Russell GF, Szmukler G, le Grange D, Dodge E.Family and individual therapy in anorexia nervosa. A 5-year follow-up.Arch Gen Psychiatry. 1997 Nov;54(11):1025-30.
  3. Eisler I, Dare C, Hodes M, Russell G, Dodge E, Le Grange D.Family therapy for adolescent anorexia nervosa: the results of a controlled comparison of two family interventions.J Child Psychol Psychiatry. 2000 Sep;41(6):727-36
  4. Eisler I, Simic M, Russell GF, Dare C.A randomised controlled treatment trial of two forms of family therapy in adolescent anorexia nervosa: a five-year follow-up.J Child Psychol Psychiatry. 2007 Jun;48(6):552-60
  5. 上原徹:摂食障害の心理教育-モーズレーアプローチの場合 最新精神医学、11:547-554,2006
  6. 上原徹:14章 家族への対応.「摂食障害治療ガイドライン」(日本摂食障害学会監修、ガイドライン作成委員会編集)、p221-228.医学書院、東京、2012
  7. 青島あすか、小笠原知子:家族療法およびFBT(Family-Based Treatment Approach)による児童青少年の摂食障害治療の有効性:日本での臨床と成果について.第18回日本摂食障害学会学術集会抄録集、p194、2014
  8. 小笠原知子、中村伸一、大森美湖、澤智恵:家族をリソースとした青少年の摂食障害治療アプローチは有効か―日本の摂食障害治療における家族療法およびFBTの有効性と将来性を多角的に検証する.第31回日本家族研究家族療法学会自主シンポジウム、家族療法研究、31:86、2015

2015年11月2日月曜日

スピリチュアリティに関する秀逸なレビュー

新谷 宏伸 氏 による精神科治療学の総説
 
「スピリチュアリティ(霊性)が精神科治療にもたらすもの」


ワンネス(すべては一つである)、思考は現実化する、今ここに在る


決して反科学的な論文ではない、むしろすぐれて理論的かつ実践的な論考である

WHOの健康の定義に霊性が含まれていることに依るまでもなく、

世界の優れたリーダーたちの共通するメッセージにあたるまでもなく、

我々が当たり前に信じている真実の多面性やはかなさ、

ローカルな知識の集積であるエビデンスの限界に気づいてさえいれば、

理解し共鳴するのに、難くない

でもシンプルなことは、行うに難し、でもある

生まれることも滅することもない、

今ここで、不安を選ぶか、愛を選ぶか

それは自由であり、

唯識、

すでに手に入った状態を意味する「感謝」が、引き寄せられ、現実化するために


ちなみに、氏とはかつて、短い間だが仕事の一時期を共にした

そのご縁で、最近彼の論文を読ませていただいている

とても興味深い言説なので、紹介させていただいた

2015年8月31日月曜日

閑話休題


すっかりす涼しくなり、秋の気配だ

この夏、こころに響く映画や音楽に出会ったので、いくつか徒然に


 

宮古島のアーチスト
 
下地 暁  氏

 
知人家族との合同旅行で訪れたかの地で、リゾートの無料コンサートに足が留まる

素晴らしい歌声と、さんしん、ギターが、南の夜空に吸い込まれる

娘さんと、あと一人キーボードだけのトリオ、

島独特の言葉で歌われる楽曲に、すっかりひかれる

翌日、お土産屋でオリジナルCDのMyahkを買う

内外でかなり著名な方、音楽歴も長い

宮古島にもどり、オリジナルな活動を続けておられる、

islanderartist

であることを知った

http://www.shimojisatoru.jp/

 
ちなみにホテルのスタッフさんにうかがったが、普段もとてもよい方だそうだ

聞きこんでも、歌詞の意味はとりにくいのは、外国の音楽のようだが、

決定的に違うのは、主観的であるが、心に「何か」が深く響いてくること
 

ちなみに、Miyakojima Kids Net. http://miyakojima-kids.net/Miyakojima_Hogen-2.html

によれば、宮古の方言には、以下のような特性があるという


『ユネスコ(UNESCO) の調査によると、現在世界に6,000から7,000の言語があり、100年後にはおそらく90%の言語が消滅するであろうといわれている。ユネスコでは、これら消滅する可能性のある言語を、消滅危機言語としてレッドデータブックを作成している。

Moseley, Christopher (ed.). 2010. Atlas of the World’s Languages in Danger, 3rd edn. Paris, UNESCO Publishing

  宮古島の方言は、レッドデータブックでどのあたりに位置するか、研究者によって違うが、いずれにせよ消滅危機の度合いは毎年変化し、このまま何も対策をしなければ、間違いなく消滅危機のレベルは上がり、遠い将来には消滅へと向かっていく』という
  

さらに

『小さな島でありながら集落一つ隔てるだけで違う言葉、異なる表現が使われるという、言語学者にとっては魅力的な土地』

とのことである

 
楽曲は、愛しゃ(カナしゃ)、や、ウヤケンナウレ、など、美しくも力強い

このCDの歌詞ノートに、宮古民謡についてくわしく書かれているが、『方言を知らないと読めない、そんな言霊がある』と、記されている

つたわってくるもの、それは、言霊、なのかもしれない

これから、さっそく注文した下地氏の新譜と、旧譜が届くだろう

 
夏の宮古の記憶は、まだ終わらない

 

 
思春期とは?

旅立ちの時 Running on empty 1988年 アメリカ映画

 
リバーフェニックスの見事な陰りと抑圧の演技、テーマは映画全体にながれる

この両親は、青年期の課題を引きづたまま、仮面の自己愛を維持しようともがいてきた

彼らも、やっと、幻想「家族」共同体から、実社会に適応する旅立ちの時になる

思春期の自分との出会い、そして自己実現を契機する「他者」としての異性や音楽

安定した裕福な家族といえど、そこには既存の価値観への反抗といったテーマが立ちはだかる

活動家の母親と、反目していたその父との再会、既存とは、自らがそのあとを歩む道

理想と現実の狭間で、主人公は、他者を想い、自己を思う

リバーフェニックス自身は、早逝してしまったが、彼の表現はしっかりといきづいている

 

ディアハンター 1978年 マイケルチミノ監督

わたしのfavorite
10代の時から、すでに10回は見ている
50すぎになって、この映画はやはり深く残る

 
前半のロシア移民おおき鉄鋼の町の描写

夜勤明けのばか騒ぎのかなしさ

ロシア正教の結婚式

ベトナムの実体験は、まだ彼らには遠い

そして、シカ狩りの壮大な自然

one shot

と言ってマイケル(デニーロ)はしかを撃つ

 

行きなり、場面は壮絶な戦場の捕虜としての描写

たましいに突き刺さるロシアンルーレット体験

これは、3人の心身をむしばむ

ニック(クリストファーウォーケン)の変容演技は、筆舌に尽くしがたい

彼の快活さややさしさが前半際立っていただけに、、

 
一人帰国したマイケルが、そっとリンダ(ストリープ)を見守る態度に変わりない

ただし、ある隔絶を持って、彼らは必然と支えあうしかない

ふたたび狩りに行くが、仕留めるはずのしかから銃を外す

OK?とこだまする

 
終戦間際のサイゴンに戻り、ニックとのろかけ勝負で、かわす彼らの演技は、

唯一無二だ

山の木々が好きだったろう、といって、ニックを現実に引き戻そうとするマイケル

このあとはかたるまい
 

ラストシーンで、皆がUSAをたたえるうたを歌う

移民国家が故の、愛国心とアイデンティ

多くの犠牲といくつかの過ちの上に、国家も、人生も、成立しているのだろうか?

 
ちなみに、このテーマ曲をきくと、いつもひきこまれてしまう