2015年2月20日金曜日

閑話 映画のお話し

バベットの晩餐会  1987  (デンマーク) 監督: ガブリエル・アクセル
アカデミー外国語映画受賞作。

海に近い田舎で、信仰に深くねざした生活をする二人の姉妹、若き頃のそれぞれの邂逅。
一つは人生に悩む若き軍人、一つは歌の魅力と未来を勧める著名な音楽家。
いずれもが、静かに通り過ぎた出来事。
地元の人々とともに、信心と奉仕で年を重ね、今は老年を迎えている。
戦時下、フランスからある女性がにげのびてくる、かつて歌を教えてくれた音楽家の紹介だ。
家族を失い、行く場所もない、「バベット」、老姉妹のもとで、侍女として働く。
十数年がすぎ、信者たちも老い、それぞれが自分勝手で、いさかいが絶えなくなる。
それを憂う姉妹、亡くなった父の教えを思い返すべく、誕生日にささやかな会を計画する。
おりしも、バベットが母国との唯一のつながりと思い、買い続けていた宝くじが当たる、。
きっと彼女は、フランスに戻るだろう、とさみしいながら送り出す気持ちでいる。
ところが、彼女は晩餐会を申し出る。
ここからがこの映画の愁眉、本格的なフレンチの数々。
素晴らしい食材とともに、見事にバベットが作り上げていく。
かつて彼女は、有名レストランの有名シェフだったのだ。
信心にあつい人々は、食の誘惑に打ち勝つべく、その話題を避けようとかわいい努力をする。
でも、おいしい食事は、人々の心を和らげ、関係を緩和し、温かい環が取り戻される。
バベットは、宝くじのお金をすべてつぎ込み、このまま二人とともに居たいという。
彼女にとって、料理は過去の栄光ではない、今、この人々に、喜んでもらえること、芸術であり、自己実現。
これは、かつて音楽家が妹の歌声を聴いて言ったこと、真の芸術は永遠、あなたのうたも。
実は、若き日の軍人が、重要な役割を果たす。
大佐となり、かつて思いを寄せた姉とともに、晩餐を囲む。
これまでの人生は無駄ではない、永遠を生きることを可能にする、物理的な距離さえも超えて、
宗教、芸術、人生、、、それを繋ぐ食。
いまどきの映画にはない、かわいらしさと、静かで深いメッセージ。


ブルージャスミン 2013 アメリカ 
ウッディアレン監督脚本、ケイトブランシエットがアカデミー最優秀女優賞受賞

彼の監督作の中で、個人的には好きな一本。
暗い重いという前評判だったが、独特の軽妙さが悪くない。主人公が実は計算高くないところが良い。夫は信じとおすし、豪華な生活を妙に悪びれない。文句言いながら歯医者にもつとめる。演技も秀逸であり、嫌味にならないし、コメディを強調しない。自然に、情けなくみじめ、ちょっとかわいそうで、でも身から出たさび、最後に本人も独白する。
繰り返すが、本当に見事な演技だ
また、ゴージャスな世界はそれなりに見事。会話も、別荘も、食事も、洋服も、車も、。
コントラストとなる、里子の妹も魅力的だ。たしかに男運は悪そうだが、憎めない。
この姉妹、結構根がいい、悪い人じゃないと思う。
助演女優賞にノミネートもさたが、あの独特のしゃべる間がいい
かかわる男性も、みなそれぞれ一長一短、現実的だ。
見ているものが、ある部分はあてはまりそうなところが、それぞれの人物に相応してある。
アレックボールドウィンはTo Rome with loveについで、かなりはまり役
おまけで、別荘でベイを眺めるところ、素晴らしいきれいな場所だ
一度だけSFにいったことがあり、映画の中で見るとなんだかうれしいものだ


そのほか最近のあたり
熱波(ポルトガル映画)
ロンドンリバー(英国)
そして父になる(日本)

やはり映画で、いろいろ考え、学びます