2014年4月14日月曜日

「メンタルヘルス通信」ふたたび、(2010年9月) “スポーツとメンタルヘルス-人生のアスリートとは?”





世界中のさまざまなスポーツ選手たちが、いろいろな競技で、すばらしい活躍をされています。

そんなニュースを見聞きすると、大変わくわくします。

実際にスポーツをする方はもちろん、あまり運動する機会がない場合でも、「今度ちょっと走ってみようかな」などと、思うことがあります。

時に残念な結果に終わった有名選手の姿を、自分の置かれた厳しい状況に重ね、「苦しい時こそ、チャンスだ」と、こころのなかで応援したりします。



スポーツの素晴らしさは、体の健康維持や増進にとどまらないでしょう。

競技の種類やかかわり方も、たいへん幅広く、奥が深い。

我々に、達成感やリラックス、ときにくやしさや予想以上の高揚感、さまざまな感情を、もたらしてくれます。



見て楽しむ、参加する、時に技術を論じ、チームに声援を送って、試行錯誤もする。

スポーツの広がりは、とても豊かです。



近年、スポーツ精神医学という分野が、注目されています。

アメリカでこの領域を切り開いたのは、自らがポリオに罹患し、テニス競技をあきらめたArnold Beisserという医師でした。

この分野に詳しい保坂隆氏(東海大教授)によれば、

1.スポーツの精神医学への応用、すなわちスポーツが精神疾患やメンタルヘルスにどのような効果があるか、

2.精神医学のスポーツへの寄与、すなわちアスリートやスポーツに携わる人々が、誤った取り組みや不適切な指導により精神障害や心理的問題を生じる事態に、予防・治療的に対処する、という双方向の視点が重要だそうです。



さてトップアスリートは、肉体的にも精神的にも強靭である、そんな風に多くの人は信じています。テレビで見るイチロー選手や宮里藍選手に、弱さを微塵も感じません。

それでも、トップ選手へのロングインタビューなどでは、とても人間的で、我々が共感できる発言をされることがあります。

同じ人間ですから、程度の差はあれ、悩み戸惑うのは当然かもしれません。



実際現場で支援をされている、スポーツ精神医学会理事の内田直先生や早稲田大学スポーツ学術院の堀正士先生が、以下のようなトップアスリートの精神的問題を指摘しています。

・練習の厳しさや競技成績の浮沈、

・ファン・メディアとの接し方、

・オーバートレーニングによる燃え尽きやパフォーマンスの低下、

・勝利至上主義により低年齢から身体精神発達がないがしろにされかねない事態、

・チームメイトもライバルで、相談できる仲間が少ない、

・有名選手(チーム)ほど社会的規範を強く要請され、“清く正しく強く”という大きなプレッシャーを抱える、

・若年より家族と離れ、コーチやスタッフと過ごす時間が長いことの弊害、

・時に遠征など、異文化や外国での摩擦体験、

・さらには競技生活が終わりに近づいた時、引退後の人生設計

こうしたテーマをみると、なかなかに大変だな、と想像します。



もし、彼ら彼女たちがなにかしら心の支援が必要な時、相談につながる道はなかなかに遠く、壁は高いといわれます。これもまた、残念です。



彼ら彼女たちが、私たちに与えてくれるスピリッツには、計り知れない力があります。

素晴らしい活躍をした選手が、かならずと言っていいほど語る言葉、

「この結果は、応援してくれた皆さんのおかげです」

自分自身の努力や苦闘の道に裏付けられた謙虚さ。

それとともに、周囲からの有形無形のサポートを力とし、時に人知をこえた、たとえば自然がもたらしてくれた恵み、「運」とよばれる偶然の意味に、気づくことのできる人々なのかもしれません。



体力や技術だけでなく、人々とかかわる力や、心をコントロールするむずかしさを実感した選手こそ、真のトップアスリートと呼ばれのでしょう。



トップアスリートをメンタル面で支えることは、それをフォローする子供たちや中高大学生の選手に、貴重なメッセージが、リアルに届くことを助けるでしょう。

なぜなら、心と体の深みを追い求めるトップアスリートは、その成績や結果以上に、彼らの言葉や姿を通じ、「こころとからだの声に耳を傾け、自分らしさを信じ、共感の力を高める」という、真の先進的、いや、“先心的メンタリティー”を、我々に導いてくれるからです。



そしてそれは、ヒトが人たる所以である「前頭前野」の働きを持ってなされる、「理性、責任感、感情の抑制、優しさと他者への敬意、決断と思考」(中田力氏、新潟大学統合脳機能研究センター長)の能力が、すぐれて高みに向かいつつある人々を指す、『人生のアスリート』と、同義なのかもしれません。



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参考図書)

スポーツ精神医学. 診断と治療社、東京、2009

中田力:心の誕生.フィロソフィアメディカ11回(複雑系科学入門)、日本医事新報、5月29日号、2010

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2014年4月4日金曜日

春の庭にて

所属大学の入学式に、参列した

高崎公園のさくらは、うつろいやすい春の嵐に、舞っていた

在校生たちの太鼓が、新入生だけでなく、われわれの心を揺さぶる

この季節、庭の植物たちも、俄かに姿を変える

はやくもムスカリが、紫の花を、ひそやかに満たす

北植えのゆきやなぎは、いちばんにはるの到来を告げる

木々の根元に、クリスマスローズが、年々立派な花を、謙虚にうつむかせる

そろそろ、球根たちが、あらわれいでそうだ

忘れてはいけない、ミモザ、黄色い花、満開

庭のあちこちから、芽吹く

落葉した木々から、芽吹く

また会えた喜びは、形容しがたい

次は、ホスタが葉を、バラが花を、いちごが実を、、、

いま、庭に夕日が差し込む

さあ、忙しい季節がやってくる

学生たちを、育むこと、

土や肥料や、日差しや気候、

そして、期待してみまもる

さあ、わたしも、日々の営みに、向かおう










2014年4月2日水曜日

平成25年度「学生によるオレンジリボン運動」

若年者に向けた児童虐待予防のための広報・啓発(厚労省HPより)

近い将来親になりうる 10 ~ 20 代の若年者などに向けた虐待予防のための 広報・啓発の取組として、厚生労働省から関係団体に呼びかけ、子ども虐待のない社会の実現を目指す「オレンジリボン運動」の一環として、学生自身が主体となって行う「学生によるオレンジリボン運動」が実施されました。

全国 113 校の大学等で約 4,000 人の学生により、虐待予防のための広報啓発等の活動が約 40,000 人の方々を対象に行われました。

実施した学生のうち、オレンジリボンやオレンジリボン運動を実施前から「知っていた人」のうち約8割が「実施によりさらに理解が深まった」と 回答し、「知らなかった人」のうち約9割が「実施により理解が深まった」と回答しています。

実施の場については、学園祭が最も多く約6割、次いで地方自治体の イベント等が約1割でした。また、「今後、『オレンジリボン運動』を独自に 継続させたいと思いますか」という質問に対して、「今後も継続したい」と 回答した学校等は約8割でした。