2013年7月25日木曜日

社会復帰・社会参加のための薬物・心理社会的治療研究会 ご案内

PPST研究会(社会復帰・社会参加のための薬物・心理社会的治療研究会)
2013年全国セミナーの御案内

下記の要領にてPPST研究会全国セミナーを開催致します。今回は、精神疾患とその治療についての第一人者である笠井清澄先生、井上新平先生をお招きし、精神科治療のあるべき姿と今後の展望を統合失調症を中心に御講演いただきます。得難い機会ですので、ご多忙の折とは存じますが、万障お繰り合わせの上、ご臨席賜りますようお願い申し上げます。

「薬物・心理社会的治療の最前線 - 統合失調症を中心に」

スピーカー
1)西園昌久先生 (心理社会的精神医学研究所、PPST研究会理事長) 「PPST研究会の目指 すもの」

2)笠井清登先生 (東京大学医学部精神医学教室) 「統合失調症の最新の生物学的理解と薬物療法」

3)井上新平先生 (福島県立医科大学会津医療センター精神医学講座) 「統合失調症の心理社会的治療のスタンダード」

指定討論  後藤雅博先生 (恵生会 南浜病院) 「PPSTを身近な臨床現場で」  

日時 2013年9月13日(金) 午後7時から9時

会場 東京大学 山上会館 大会議室 東京都文京区本郷7丁目3−1  

会費 1,000円 (会場にて軽食のご用意がございます。)

主催: 社会復帰・社会参加のための薬物・心理社会的治療研究会
( PPST研究会:Pharmaco-Psycho Social Treatment、会長:西園昌久)

2013年7月1日月曜日

共感力 ふたたび

MH通信より

共感力について

お送りします



「メンタルヘルス通信」No.8(2010年5月)
“カウンセリング・マインド 3つの理 ― 共感力”

前回から、日常の学生相談場面で心に留めておきたい姿勢を、3つの視点で考え直しています。


今回は、“共感力”


その学生さんは、自信を喪失しているようでした。

「自分は他人と比べて要領が悪く、周りとうまくいかない。
一人でこつこつやっているだけでは、意味がない。
自分は、駄目な人間ではないだろうか?」

一方で、担当教官は、こう思います。

これまで、それなりにがんばってきた学生さん。
おとなしいタイプで、リーダー的にふるまうことはない。
しかし、言われたことをきちんとやる。
そんなに卑下する理由は、特別ないのに。
自分自身に、多くを望みすぎていないだろうか。
完璧にすべてを兼ね備える必要もない。
無理しなくてもいいじゃないか?
そんなことを、伝えたいのですが。


悩みを聞くとき、私たちの中には、さまざまな思いや、気持ちがわきあがります。
それぞれの人生経験から、たとえば、

「そんな自分でも、いいじゃないか」

こんな言葉をかけたくなる時も、あるかもしれません。

この学生さんの「理想」や「自尊」をかいま見た時、私たちの中にどういう思いが、うかぶでしょうか。

たとえば、「自分らしくあろうとしない君?」、、、

その一方で、「自分自身を認められないつらさ」に、共感できるでしょうか?

「共感」、簡単なようで、とても難しい。

共感は、「かわいそう」、という情けや憐れみとは、違うようです。
たしかに、私たちが同情で接しられたら、
「同情されるのはいや、だから人には話したくない」
と思うでしょう。

共感は、ただ一緒に嘆き悲しむこととも違う、といわれます。
メディアがしばしば扱う、
泣ける本、泣ける映画といった、
安易な感情の吐露とも、違うでしょう。


「共感とは、その姿がまさに自分の人生であったかもしれないという、切実な思い。
自分の人生であるならば、その体験を単なる一つの言葉でかたづけられたくはない、という強い思いに立った姿勢」(多摩大学大学院教授、田坂広志 氏)


まず、私自身の中にわきあがる思いを、受け止めることが必要だと、
「共感の作業」をとおして、痛感しています。


さて、学生さんたちは、教職員の方々や同世代の人々とのかかわりの中で、こうした問題や葛藤を自分自身で見つめ、成長していくのでしょう。

次回は、葛藤を止揚する力について、考えてみます。