2010年1月6日水曜日

思春期の非行をめぐる、有賀道生 氏のモノローグより

「社会的問題となって現れる非行が、どんな意味を持ち、我々に何を伝えようとしているのか、周囲は何ができるか、何をすべきか」という重い問いを、冒頭から私たちに投げかける言説。

下に紹介した「現代のエスプリ(509号)」から、ぜひ届けたい。

氏は、背景にある複雑なトラウマと、発達上の傷つき、自己救済の手段とも言える薬物使用への流れを、臨床体験とエビデンスをもとに描き出す。
その言説から、心に残ったいくつかを、紹介する。

「虐待を受けた彼らの問題行動は、生きていくためのわずかな望みをかけた心の叫びの様な気がする。非行少年に親のことをどう思っているか尋ねると、多くが『好きです』と答える。どんなにひどい仕打ちを受けたとしても、『好き』という言葉が届かないことを知っていても」

「薬物依存におちいった彼らが願うのは、どう薬物を止めるかというよりも、どうやって生きていけばいいか、生きる価値とは何か、という問い」

「彼らは、ばらばらになったパズルのピースの海いるよう。それを元通りにしようとするが、どうにもならずあきらめ、つながった何かを見つけると、また誰かに壊される。ある瞬間、壊れていない部分が見つかると、わずかな希望が芽生える。この一部をともに見つけ、わずかの希望を持ち続けるべく、支えること」

支援の力を、こう締めくくる。

彼は、志のある、我がフェローである。

そのことに、深い喜びと、誇りを、感じる。

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