2009年10月26日月曜日

回復の光について

家族会で講演した後、さまざまな経験をうかがった。

その一つ。プライバシーに配慮しつつ、ご紹介したい。

子供さんが、かなり小さいときに摂食障害を発症、当時ほとんど専門機関もない中、あちこちに相談するも、芳しくない。
本読む、話を聞く、なかなかにむずかしい病と書いてある。
あきらめや、でもどうにかできないだろうか、先々の不安、さまざまなお気持ちがあった。
ある婦人科で、生理が来ないことを相談に行くと、「月経のない人生というのもありますから、お母様は何をもとめているのですか」という言葉が返ってきた。
そのときの、悲しみ、怒り、向けようのない落胆。
そんなとき、とある療法に出会った。その方が、
「この子に今必要なのは、種から根を生やすこと、幹や葉や、ましてや花や実のことは、そのあとのこと」、といわれた。
根を生やすこと、そこに目線が向いた。
まずは、その方法をためしてほしいと、これまで拒んでいた、お子さんに対峙した。
おそらくその真剣さ、子供さんの地平に立った言葉、「今必要な根を張ること」、
あせりやあきらめを超えた、「いまできること」、
そうした共感力が、回復への礎になっていったのだろう、そう私は感じた。
大変長い病歴を経て、また、医学的には難しい状況を超えて、今、お子さんは結婚し、妊娠し、子育てをされているという。
もちろん、これからの人生で、さまざまなことがある。
でもこの光は、われわれ関係者を、明るく照らし、導いてくれる。

0 件のコメント:

コメントを投稿